2017年3月1日~2017年3月31日締切分

特選1
巣作りの鴉のまたも枝落す 平田冬か

頭が良いとはいえ、鴉はやはり野生の動物である。幾度も失敗しながら巣作りをするのだろう。その様子を温かく見守っている作者の気持ちが伝わって来る。

特選2
会議いま堂々巡り目借時 たなかしらほ

会議の参加者が様々な意見を言い合っているが、一向に結論が出ないのだろう。春の暖かさが眠気を誘う目借時にこのような会議に出ていると嫌気が差すものだ。

特選3
師の句碑を隠さず梅の瑞枝かな 迫田斗未子

兵庫県たつの市の綾部山梅林にある峠句碑「家島を梅の瑞枝のさまたげず」を念頭に置いての句であろう。うまく元句を受けて詠まれている。

入選1
風向きの一瞬変はり梅匂ふ 後藤允孝

梅を詠んだ句は多いが、この句は「一瞬変はり」と瞬間を切り取って詠んだことが良かった。

入選2
しばらくは黙祷捧げ踏絵見る 古谷彰宏

踏絵を前にして、まずは黙祷を捧げたのだろう。作者の温かい思いやりの気持ちが伝わって来る。

入選3
花疲れわが真後ろにクラクション 岡本あざみ

上花疲れの身に後ろから突然クラクションを鳴らされて驚いたのだろう。車はもっと控え 目にしておくべきだ。

入選4
美術館扉の重く冴返る 稲垣美知子

冴返るような日には美術館の扉が普段よりも重く感じられるのだろう。花疲れのような 感じもする。

入選5
又別の人来て凧を揚げ始む 阪野雅晴

広場で凧揚げを見ていたのだろう。「又別の人来て」という淡々とした表現に飄々とし た味わいがあり、面白い。

次に次点句を列記します。添削したものもあります。

【003】かはせみの狙ひ定むる構へかな   前田秀峰

【006】その構へあれど笛なき古雛   迫田斗未子

【010】ミモザ咲くこころ新興住宅地   篠原かつら

【021】眼下には無人島あり鳥雲に   玉田ユリ子

【036】春愁や老には重き広辞苑   田島もり

【040】初蝶のまだ飛べぬらし地を這ふは   長谷阪節子

【051】虫籠窓残る街道雛飾る   平松文子

【052】潮騒の聞こゆる駅舎アロエ咲く   安藤悠木

【071】この団地なべて空つぽ鳥雲に   中島 葵

【080】ランドセル背に小さく卒業す   中島正幸

【081】一息に七色生るるしやぼん玉   木村由希子

【090】啓蟄や籠り癖解き朝散歩   糸賀千代

【091】穴出でし蛇と目の合ふ神の庭   村手圭子

【104】春愁やまだ見つからぬ虫眼鏡   太田一穂

【115】替歌も受け継がれたる雛祭   吉川やよい

【116】大挙して飛び翔たんかの花辛夷   黒岩恵津子

【141】なつかしき師の字なぞりぬ花の句碑   田島竹四

【151】蝦蟇一歩安全地帯たしかむる   近藤八重子

【166】時化の海眺める海人や浜大根   野村親信

【181】築地塀内よりしだれ桜かな   小林久美子

【195】落ちさうで落ちぬ鴉の巣枝かな   広田祝世

皆さん、また今月末を目標に新しい句を投句して来て下さい。純一郎